「すべて真夜中の恋人たち」
ぜんぜんせつないとか哀しいシーンではないところで胸がつままれてくるしくなる、
同じような気持ちになったことが遠いむかしにあった気がするけれど、もう変質してしまって違うものになったから思い出しても当時のそれとはちがってほんとうじゃない
ほんとうのことは冒頭の一ページで完結しているよな、恋について語るならその一ページで完結してしまうよ、
喫茶店で連なる会話や始まったばかりの恋はきらきらとうつくしく、でも現実のなまぐささ(女の人たちは特に)はちゃんとあって、部屋の中で本を読み終えて外に一歩も出られなくなりそうな午後で雨降ってきて、すーんとする
昨日お風呂でも読んでいて、お湯が冷めたのできりのよいところで本を閉じた時、
数ヶ月前に悩んだことすら嘘みたいにつるりと忘れていて、その頃から出ていた謎の背中の肌荒れがずいぶん良くなっていることに気づいて笑ってしまった。
恋でも愛でもなくなったものをそばに置いておいておくのは全くうつくしくない、
最後、聖がもっとだいすきになった。